診療にかける想い

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自己紹介・これまでのキャリア

まずはご経歴について教えてください(これまでの診療領域など)。

私は大学卒業後、熊本赤十字病院でキャリアをスタートしました。
初期研修では、特定の科に偏ることなく、内科・外科・救急など多岐にわたる診療科を網羅的に経験し、医師としての基礎を築きました。

その中で「目の前で困っている患者さんを助けたい」「急変時の対応や重症患者の全身管理を極めたい」という強い思いが芽生え、研鑽を積んだ結果、救急科専門医・麻酔科専門医・集中治療専門医の資格を取得いたしました。

その後は、それらの専門医資格を活かし、済生会熊本病院の救急総合診療センターにて、主に救急医療やICU(集中治療室)での診療に従事してまいりました。

救急の現場では、内科・外科を問わず、あらゆる急病や重症患者さんへの即座の対応が求められます。 数多くの症例を経験する中で、臓器ごとの対応にとどまらず、「この患者さんにとって今、一番大切なことは何か」を常に考え、全身を俯瞰して診る視点を養うことができました。これは現在の私の診療のベースにもなっています。

重症患者さんや急患の対応だけでなく、総合診療医として多様な背景を持つ患者さんと関わる中で、病気になる前の「予防」や、退院後の生活を支える「地域医療」の重要性を強く感じ、現在はその現場に情熱を注いでおります。

 

済生会熊本病院でのご経験で、特に印象に残っていることはありますか?

【平時の高度医療から、有事の災害医療まで】

済生会熊本病院での14年間は、私の医師人生において極めて濃密な時間でした。日々の救急診療では、敗血症性ショックや多発外傷、多臓器不全、心肺停止蘇生後の集中治療など、一分一秒を争う重傷患者さんの全身管理に心血を注いでまいりました。

また、診断が困難な「不明熱」や、特定の診療科だけでは対応しきれない「マルチプロブレム」を抱える患者さん、さらには社会的入院や看取りに至るまで、初期対応から退院調整まで一貫して携わってまいりました。

さらに、以下のような専門性の高い役割も担ってきました。

・麻酔科診療:週に一度、心臓外科や呼吸器外科の手術麻酔を担当し、高度な全身管理技術を研鑽し続けました。

​・災害医療(DMAT):熊本地震などの有事の際、災害派遣医療チームとして被災地医療に奔走しました。

​・気道管理(DAM):「呼吸の安全を守る」気道困難症例対応(DAM)のエキスパートとして、困難症例への対応や、リーダーとして院内の安全体制構築を行いました。

・移植医療:院内での移植医療体制の立ち上げや、熊本県の移植コーディネーターとして、新たな医療の仕組みづくりに尽力しました。

これらの多岐にわたる経験は、医師としての視野を広げる貴重な財産となっています。

​【忘れられない、コロナ禍での3年間】

​その中でも一つ挙げるとすれば、やはり2020年春から始まった新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の重症患者さんへの対応です。
当時はまだウイルスの全容が解明されておらず、海外では医療関係者も多数亡くなっているという報道もあり、未知のウイルスへの「恐怖」もありました。しかし、それ以上に「目の前の患者さんを助けなければ」という使命感が勝り、重症対応チームへの参加を決意しました。

​重症患者さんが運ばれてくるレッドゾーンでの処置は、感染リスクと戦いながら、患者さんの呼吸を確保し、安定させるために「秒単位」の判断と高い技術が求められる極限の現場でした。防護服を着てレッドゾーンで処置を続けながら年を越したことは、今でも忘れられない思い出です。

​24時間365日オンコール対応の緊張感が約3年間続きましたが、職種の垣根を越えてチーム一丸となり多くの命を救った経験は、私の医師人生の誇りです。
あの現場で培った「とっさの判断力」と「最後まで諦めない使命感」は、現在のクリニックでの診療の礎(いしずえ)となっています。

救急の現場を経験された先生だからこそ培われた、“判断力”や“覚悟”について。

救急医療の現場では、まさに数秒から数分単位でのシビアな判断が求められます。
そこでは一瞬の迷いも許されず、「今、目の前の患者さんに何をすべきか」を即断し、実行しなければなりません。
その極限の繰り返しのなかで、医師として不可欠な「決断する力」と、生命に対する「重い責任を背負う覚悟」が培われました。

限られた情報や時間の中で、あらゆる可能性を考慮し、その時点での最善を尽くす。
この姿勢は、救急の現場だけでなく、現在のクリニックでの日々の診療においても、変わることのない私の「核」です。

継承のきっかけと想い

クリニックを継承することになった経緯を教えてください。

私は熊本市の出身で、「いつか生まれ育ったこの地で、地域医療に貢献したい」という強い想いをずっともっていました。
実は当初、これまで勤務していた病院の近くである南区や東区などで、新しいクリニックを一から作る準備を数年かけて進めていたんです。そんな中、本当に偶然のご縁で、こちらのクリニックを引き継ぐというお話をいただきました。

検討を進める中で、何よりも長年この地域の方々に親しまれ、大切に築かれてきた「深い信頼関係」に心を動かされました。
「新しくゼロから始めるよりも、この歴史ある場所を受け継ぐことで、より早く、より身近に地域の皆さまのお役に立てるのではないか」。そう考え、ここで自分の理想とする地域医療を実現しようと決心しました。

継承を決意された背景や、地域医療への想いをお聞かせください。

救急医療の現場で働く中で、常に患者さんの「その後」の人生が気になっていました。
ICU(集中治療室)や救急で命の危機を脱した患者さんが、その後どのように回復し、どのような日常生活を送られているのか。
これまでの現場では、そうした経過を長く見守ることができないことに、医師としてジレンマを感じていたのです。

だからこそ、地域に根差し、患者さんの日々の生活に寄り添いながら、健康を長く継続して支えていく「かかりつけ医」という役割に、強い魅力を感じるようになりました。

これまでに救急・集中治療の現場で培った幅広い知識と判断力を活かし、単に病気を診るだけに留まらない医療を提供したいと考えています。
「体調のことで困ったら、まずはあそこへ行こう」「どんなことでも、まずはあの先生に相談してみよう」。地域の皆さまにそう思っていただき、真っ先に顔を思い出していただけるような、頼れる存在でありたい。
それが私の目指す、地域医療の形です。

患者さんとの関わり方

患者さんにとっての「良い医師」とは、どのような存在だと思いますか?

医師として、確かな知識や技術を持っていることは大前提ですが、それ以上に大切なのは「相手の立場に立って考えること」だと信じています。
患者さんは、病気そのものだけでなく、不安や迷いを抱えて来院されます。
だからこそ、まずはしっかりとお話を伺い、そのお気持ちに寄り添いながら診療にあたることを第一に考えています。

診察時には、医師が一方的に「話す」よりも、患者さんの声を”聴く”時間を大切にし、その思いを受け止めたうえで、一緒に治療の道筋を考えていくことを心がけています。

高齢化や医療の多様化が進む中で、地域医療はどうあるべきだと感じますか?

これからの地域医療のキーワードは、「一人ひとりに合わせた医療」と、「地域とのつながり」の2つだと考えています。
患者さんお一人おひとりの生活背景や価値観は、全く異なります。
だからこそ、一律な医療ではなく、その方の人生やご希望に沿った「その方にとっての最善」を一緒に考える必要があります。
また、医療は診療所の中だけで完結するものではありません。
特に高齢化が進む現代においては、介護、福祉、行政といった多職種との密な「連携(つながり)」が不可欠です。

私たちが地域の「ハブ(HUB)」となり、医療・介護・福祉が有機的に連携する体制を深めていく。
それこそが、皆様がこの地域でこれからも安心して暮らしていくための「暮らしの基盤」になると、私は強く信じています。

今後の診療方針・体制について

継承後、クリニックとして特に力を入れていきたい診療分野はありますか?

はい。私の強みである総合診療・救急医療の経験を最大限に活かし、まずは「どのような症状でも、何でも相談できる」クリニックの基盤を固めていきます。

その中でも特に重要な柱となるのが、高血圧・糖尿病・脂質異常症といった生活習慣病のきめ細かな管理です。
私はこれまで救急の現場で、生活習慣病の悪化が原因で重篤な状態(脳卒中や心筋梗塞など)になられた患者さんを数多く診てきました。
だからこそ、地域の皆様の健康寿命を延ばすためには、日々の管理による「予防」こそが最も重要だと確信しています。

また、高齢の患者さんが多くお住まいの地域特性も踏まえ、将来的には在宅医療や訪問診療のニーズにも応えていけるよう、少しずつ体制を整えていきたいと考えています。

慢性疾患の継続的なフォローはもちろん、「何科に行けばよいかわからない」という時の最初の相談窓口として、皆様にとって最も身近で頼れるクリニックであり続けることを目指します。

医師として、患者さんと接する際に大切にしていることは何ですか?

何よりも、「この先生になら安心して相談できる」と心から思っていただけるような、信頼関係を築くことです。
その信頼関係の土台は、私たちの「聞く姿勢」にあると考えています。
患者さんが本当に困っていること、言葉にしにくい不安やその背景までを深く汲み取ることが、すべての始まりです。
そして、お話を伺ったうえでご説明する際は、専門用語をそのまま使うのではなく、できる限り平易な言葉を選び、丁寧にお伝えすることを目指しています。

治療は、医師が一方的に決めるものではありません。
患者さんご自身がしっかり「納得」して前向きに取り組んでいただくためにも、診療とは常に双方向の「対話」であるべきだと確信しています。

地域の方へのメッセージ

熊本市北区清水新地・合志・菊陽エリアの印象はいかがですか?

非常に穏やかで、人と人との温かいつながりが今もしっかりと息づいている素晴らしい地域だという印象を持っています。
近隣の方々が顔見知りで、互いに助け合う文化が根づいている。
そのような地域コミュニティの一員として医療に携わらせていただくことに、大きな喜びと同時に、身の引き締まるような責任を感じています。
継承にあたり、地域の皆様に温かく迎えていただいたことで、「この場所で、地域医療の担い手として、皆様の健康に貢献していきたい」という想いを、より一層強くいたしました。

地域の皆さまにとって、どのような存在のクリニックを目指していきたいとお考えですか?

病気になったときだけでなく、「健康診断の結果について相談したい」「最近の体調変化が気になる」といった日々の不安や疑問まで、些細なことでも気軽に立ち寄っていただける、地域の“健康相談窓口”のような存在でありたいと思っています。
専門的な知識や技術を提供しつつも、常に患者さんお一人おひとりの生活に寄り添った医療を心がけ、地域の皆さまと一緒に歩んでいけるクリニックを目指してまいります。

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